にわのりんご 
2014/12/03 Wed. 00:19 [edit]
まさきの寝物語そのに
***
少女は庭にりんごの木のある家に住んでいた。
りんごは白い花を咲かせて少女を楽しませたし、その後は大きな甘酸っぱい果実をたわわに実らせた。
ある日りんごがこう言った。
「私の花は美しいのでしょうか」
少女はにっこり笑って頷いた。
「もちろん!あなたは美しいわ」
りんごは嬉しくなって、一等綺麗な花をたくさんつけた。
たくさんの花をつけた庭のりんごを見た母が、少女にたずねた。「いったいどうやって、そんなに花を咲かさせたんだい」
少女は、
「りんごに美しいと伝えたのよ」
と母に教えた。
しめしめと思った母は、庭のりんごにこう言った。
「あなた、甘いりんごをたくさんお付けなさいな、でないと切り倒してしまうからね」
その言葉にりんごは怯えて
「いつものりんごではいけませんか」と聞いた。
「あなた向上心はないのかしら、いつものよりもっとずっと甘くなさい。あなたできるでしょう、頑張りなさい」
母親はりんごにそう言い付け、帰ってしまった。
さて困ったりんごは、どうしたら甘くなれるのか考えた。そして水を控えれば、その分実が濃くなるのではと考えて、水を飲まなくなった。
しかしそのうちひどい日照りがやってきて、水を蓄えていなかったりんごはほとんど枯れて、すっかり花を落としてしまった。
「あなたの実、毎年とてもおいしかったのにね」
少女がそういったのを、りんごはただただぼんやりと聞いていたのだった。
おしまい
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少女は庭にりんごの木のある家に住んでいた。
りんごは白い花を咲かせて少女を楽しませたし、その後は大きな甘酸っぱい果実をたわわに実らせた。
ある日りんごがこう言った。
「私の花は美しいのでしょうか」
少女はにっこり笑って頷いた。
「もちろん!あなたは美しいわ」
りんごは嬉しくなって、一等綺麗な花をたくさんつけた。
たくさんの花をつけた庭のりんごを見た母が、少女にたずねた。「いったいどうやって、そんなに花を咲かさせたんだい」
少女は、
「りんごに美しいと伝えたのよ」
と母に教えた。
しめしめと思った母は、庭のりんごにこう言った。
「あなた、甘いりんごをたくさんお付けなさいな、でないと切り倒してしまうからね」
その言葉にりんごは怯えて
「いつものりんごではいけませんか」と聞いた。
「あなた向上心はないのかしら、いつものよりもっとずっと甘くなさい。あなたできるでしょう、頑張りなさい」
母親はりんごにそう言い付け、帰ってしまった。
さて困ったりんごは、どうしたら甘くなれるのか考えた。そして水を控えれば、その分実が濃くなるのではと考えて、水を飲まなくなった。
しかしそのうちひどい日照りがやってきて、水を蓄えていなかったりんごはほとんど枯れて、すっかり花を落としてしまった。
「あなたの実、毎年とてもおいしかったのにね」
少女がそういったのを、りんごはただただぼんやりと聞いていたのだった。
おしまい
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category: Bedtime story
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